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2007年1月10日 (水)

SAY YES

朝、いつもより早めに出て、喫茶店に入りました。

そこで、授業準備のために何度も読んでいる事例集を開きました。

脳梗塞の後遺症で要介護となった妻を夫が自宅で介護している事例を再読しました。

老夫婦の自宅での生活は安定していましたが、妻を支えてきた夫がガンで倒れます。もはや手術もできない程の状態。夫は残りの人生を、病院ではなく、自宅で妻とともに過ごすことを望みます。ソーシャルワーカーは夫の希望を叶えるために奔走し、在宅ホスピスの体制を整えました。夫は再び自宅に戻ることができましたが、介護が必要な妻を残して死ぬことへの不安と辛さを抱いていました。そんな夫にソーシャルワーカーは「人生史」をまとめることを提案します。夫は自分の人生を振り返ると、いつもそこには妻の存在があったことを改めて感謝します。しかし、「人生史」の完成を目前にして、夫は妻や家族に見守られながら亡くなります。その後、妻は特別養護老人ホームへの入所を決意するのです。

事例を読んでいるとき、店内のBGMが偶然、変わりました。

チャゲ&飛鳥の“SAY YES”のインストゥルメンタルでした。

静かで、ゆっくりと流れる曲。どこか物悲しくもあります。

事例を読みながら、頭の中では、自然と歌詞が浮かびます。

余計なものなどないよね
全てが君と僕との愛の構えさ
少しくらいの嘘やわがままも
まるで僕をためすような 恋人のフレイズになる
このまま二人で夢をそろえて
何気なく暮らさないか

愛には愛で感じあおうよ
硝子ケースに並ばないように
何度も言うよ 残らず言うよ 君があふれてる

あ~。だめでした・・・。涙が止まりませんでした・・・。

何度も読んでいるはずの事例に、まるで「命」が吹き込まれたような錯覚に陥り、感情移入してしまいました。

言葉は心を越えない
とても伝えたがるけど心に勝てない
君に逢いたくて逢えなくて 寂しい夜
星の屋根に守られて 恋人の切なさ知った
このまま二人で朝を迎えて
いつまでも暮らさないか

愛には愛で感じあおうよ
恋の手触り消えないように
何度も言うよ 君はたしかに 僕を愛してる

迷わずに SAY YES 迷わずに

読んでいた事例の最後の場面。夫を亡くした妻が特別養護老人ホームに入所します。妻のスペースとなる場所はきちんと掃除され、ベッドサイドには花が飾られています。そして、花の側に分厚い本のようなものが置かれています。表紙には元気だった頃の夫の写真が貼られた「人生史」でした。

ひとりひとり、どの人生も、かけがえのないものだということ、大切にしたいですね。

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コメント

 連続の投稿、ご迷惑ですよね。すいません…。

 今回の記事からは私の祖父母を想い起こさずにいられませんでした。私の祖父に末期癌が見つかったのは昨年11月でした。一方、祖母は認知症です。認知症を患う前から教育者だったこともあってか、祖母は言いたい放題で、他人の意見に耳を傾けない人間です。祖父も教育者でしたが、人の意見を傾聴する人間です。勉強熱心な人で、今日も分からないことがあると辞書を開いて学習しています。イデオロギーなど相容れない点は多々ありますが、それでも人の意見に耳を傾けられる祖父を尊敬しています。

 そんな言いたい放題の祖母を祖父は受け止め、祖父亡き後の祖母を心配しています。祖母は祖父の病気を受け入れられず混乱すると同時に、祖父の健康を祖母なりに気遣っています。同時に、短期記憶の溜められない自分への苛立ちもあるのでしょう。大声で怒鳴り続けています。誰も祖母の暴走を止められず、祖父も祖母を恐れています。でも、祖父は祖母との家での生活を望んでいます。祖母は祖父にしがみついています。

 恋愛結婚など有り得ない時代に結婚した祖父母。選んで結婚したのではないのに、この絆の強さは何なのでしょう。戦時下を共に生き延びた戦友だからなのでしょうか。世間体を気にする2人ではありますが、それだけではない繋がりがあるのだと思います。簡単に言葉に出来る関係では無いでしょうが。未婚の私には不可解な祖父母ですが、同時に憧れてもいます。

 痛みを堪え続けた祖父でしたが、痛みを訴え痛み止めを処方されるようになりました。先は長く無いのでしょう。それでも祖父は祖母を心配しています。非情に聞こえるでしょうが、祖父亡き後祖母と同居出来る親族はいません。認知症と頭で分かっていても、心は揺さぶられ続けてしまうのです。かといって、施設で暮らす祖母の姿もイメージ出来ません。現実的には特養入所しか手段は無いのでしょうが…。プライドや被害妄想が強い祖母。糖尿病でありながら、食べ続けることを止められない祖母。ADL的にも、ヘルパー無しには生活出来ない祖母。この先どうなるのか、どうすればいいのか正直分かりません。

 『人生史』。素敵ですね。尊敬する祖父の足跡を残す意味でも、お願いしてみようと思います。

投稿: life_is_beautiful | 2007年2月 1日 (木) 06時22分

長年連れ添ってきた二人には、二人だけの時間とコミュニケーションがあるのでしょうね。ともに歩んだ時間だけの、他の誰もが分からない、心のつながりがあるのでしょう。life is beautifulさんのお祖父様、お祖母様の人生の最終章がお二人らしいものになることを祈っております。

投稿: マンデリン | 2007年2月 4日 (日) 23時00分

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