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2006年11月15日 (水)

「いじめ」と「人間関係」

いじめによる自殺が増えている中、いじめる側について興味深い記事がありました。

いじめる側も孤立 ― 人間関係の希薄さ背景か

 親しい友達がいない子はいる子に比べ、いじめをした経験のある割合が女子で2倍に上るなど、人間関係の希薄さがいじめにつながる傾向があることが、木原雅子・京都大助教授(社会疫学)と全国高等学校PTA連合会が14日発表した高校生約7200人に対する「精神的いじめ」の実態調査で分かった。いじめによる自殺が相次ぐ中、いじめる側も周囲から孤立し、支えを必要としている状況が浮かび上がった。

 高校生になっていじめられた相手を複数回答で尋ねたところ、90%弱が「同級生」と答えたが、教員を挙げた子も女子は25%、男子は20%いた。

 木原助教授は「身近な大人が子どもを見守るといった人間的なつながりの回復が望まれる」と話している。

 調査はしつこいからかいや無視など本人が不愉快になることを「精神的いじめ」と定義。今年9月、全国の高校2年生へのアンケートで、約6400人の回答を得た。

 「精神的いじめ」の経験は、小学生の時に男女の60%前後、中学生で46-60%、高校生で24-41%が被害者や加害者になっていた。

 その上で、高校生で「精神的いじめ」をした場合の、学校や家庭での人間関係を調査。「心から信じられる友達がいるか」との問いに「いない」と答えた子は「いる」に比べ女子は2倍、男子も1・3倍いじめた経験が多かった。同様に「真剣に話を聞いてくれる先生がいない」子は「いる」に比べ1・6-1・7倍、「親が真剣に話を聞いてくれない」子は聞く場合より1・7-1・9倍いじめた経験を持っていた。

 ゲームやテレビなどの影響も調査。小学校低学年の時にゲームが1日3時間以上、テレビ視聴が同4時間以上あると、小学生の時にいじめをする経験が多かった。高校生では、携帯電話のメール交換が1日41回以上、インターネット使用が週10時間以上の男女も、いじめをする割合が高くなった。木原助教授は、小学校でのテレビ、ゲーム漬けで攻撃性を体得している可能性もあるとして「いじめる側の心の分析も必要」と指摘した。

                     (東京新聞 11月15日付)

親友がいないという人間関係の希薄化が「いじめ」の要因の一つのようです。生きていく中では様々なことがストレスになり、支えが欲しい時があります。そんなとき、支えてくれる親友の存在は大きいものです。「心から信じられる友人」がいないことが、「いじめ」につながっているとしたら、とても不幸なことです。ひょっとしたら、「信頼できる友人がほしい」ということの裏返しが「いじめ」となって現れるのでしょうか。

最近の学生を見ていて、友人同士の人間関係も表面的になっているような気がします。「心から信じられる」関係とは、決して表面的な付き合いからは生まれないように思います。良いことは良いと、良くないことは良くないと、時にはぶつかり合って、はっきりと指摘し合える関係こそが信頼を生むのだと経験的には考えます。

またこの記事の調査では、「いじめ」を経験した子には、「親が真剣に話をきいてくれない」「真剣に話を聞いてくれる先生がいない」という項目も高い数値を示していたようです。

「いじめ」は単に子どもだけの問題ではなく、我々大人も考える必要がある問題でもあるようです。

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コメント

興味深く拝見させていただきました。

人間関係の希薄さは、現代社会においてとても大きな問題と思います。

世の中が便利になりすぎて、人と関わる機会が少なくなってますね。昔はタバコ一つ買うのにも、タバコ屋のおばちゃんとのやりとりに楽しさを感じたものです。今ではタバコのみならず、ボタンやマウス一つで何でも手に入る世の中になり、便利ではありますが人が人でなく、機械自体に取り込まれているような、そんな幻想さえ抱きそうになります。何でも「めんどくさい」世の中であるほうがよっぽど人間的なのかな、と思います。

投稿: AKI | 2006年11月22日 (水) 10時14分

AKIさん
コメントありがとうございました。
便利になるということは、顔が見えない社会になるということですよね。顔が見えないところに「生」のコミュニケーションは生まれないと思います。ボタンやマウス、メールなどは一方的にこちらのペースで押せばよく、リアルタイムでのやり取りや駆け引きがなければ人間性が減退していくような気がします・・・。AKIさんが書かれているように「めんどうくさい」関係こそが人間らしいなと思います。
これからもよろしくお願いします!

投稿: マンデリン | 2006年11月23日 (木) 00時21分

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