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2006年9月10日 (日)

虐待はなぜ起こるのだろうか

特別養護老人ホームでの性的暴言事件で名をはせたS苑を経営する社会福祉法人に対して、市は今後6年間に支出する予定だった施設整備補助金(約3億5000万円)を保留にすると報道がありました。事件の影響は大きな代償となってしまったようです。

今回の事件。30歳の男性介護職員のことがよく取り上げられています。資格が「ヘルパー2級」だったからだ、などと。しかし、一緒にいた「後輩職員」は21歳の「介護福祉士」です。先輩・後輩の仲では注意しにくいかもしれませんが、「事件」は単に介護職員の「資格」の問題ではないはずです。

「今回の事件は氷山の一角であり、どこでも起きていることだ」と介護職の友人は言います。確かにそうかもしれません。高齢者虐待防止法が施行されたことでメディアが敏感に反応してるのでしょう。S苑の事件以降もいくつかの施設での虐待について報道が続いています。障害者分野においても、1996年から98年ごろ、水戸事件や白河育成園事件など施設や職場での虐待事件が立て続けに報道されました。現在、大きく報道されることはなくなりましたが、虐待自体はなくなっていません。単に報道されないだけなのです。

では、報道されればいいかというとそうでもありません。報道は受け手に合わせて事実を歪曲させる傾向があります。そして、国民一般に対する福祉現場や働く人たちのイメージを低下させてしまいます。福祉現場で働く人たちに対しては、報道されたのが自分たちでなくて良かったという安堵感と一時的に注意する意識が働きますが、自らのケアを見つめなおすきっかけとしてはほとんど効果がありません。

事件の本質はどこにあるのか?虐待が起こる本質は何なのか?どうすれば防げるのか?職員一人一人が、そして職員集団が、自らの「現場」の中で常に分析・検討し続けなければならないと思います。利用者と職員も常に変化していくのですから、この動きを止めてはならないのです。

それでも虐待は起きてしまいます。愛港園の施設長のblogで千葉県の特養で起きた虐待事件について考察されています。

http://blog.livedoor.jp/aikoen001/archives/50277977.html

この千葉県の特養は職員配置も1.8対1と非常に手厚く、事業報告書などを読む限り職員研修や職場内の体制も非常に充実しています。

「職員の数が十分ではないから虐待が起こる」との主張もありますが、それだけが原因ではないことが分かります。

家族内における高齢者虐待や児童虐待においても、「なぜ殴ってしまったのだろう」「まさか私が虐待をしてしまうなんて・・・」という声をよく聞きます。愛していたはずの家族に対してでさえ、いつの間にか虐待をしてしまうことがあるのです。

私たちひとりひとりの心の中には「弱さ」や「負」の部分が潜んでいます。これにきちんと目を向けることが必要なのではないでしょうか。「弱さ」や「負」の部分に気付き、受け入れていかなければ、真の「優しさ」は生まれてこないと私も考えます。

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コメント

こんにちは、アドバイスのコメントをしていただき、ありがとうございます。また機会があれば教えてください。

私の父がお世話になった療養型の病院が何軒かあります。
その中で感じたことは、面会者が少ない病院ほど活気がなく、職員の意識も低いということです。

オムツ交換の時ですが、患者さんが目の前にいることなど気にせず、職員たちは平気でその患者さんの悪口を言いながらオムツを交換していました。
そんな光景を目にした時は、「こんな病院に入れなければよかった」と思いましたね。
父の場合、行き場がなくてどうしようもありませんでしたけど・・・。

投稿: まあちゃん | 2006年9月19日 (火) 01時35分

まあちゃんさん
コメントありがとうございました。「面会者が少ない病院ほど活気がなく、職員の意識も低い」というのは考えさせられますね。やはり第三者の目というのは大切なのでしょうかね。第三者がいなくても、当事者が目の前にいるのに・・・。その患者さんやお父様はどのような思いだったのでしょうかね・・・。

投稿: マンデリン | 2006年9月20日 (水) 00時02分

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